スポーツを楽しむ人たちを守る
- 2022.10.20
- PLASSPER
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みなさん、こんにちは。
前回は、映像を交えながらハンドボールのOFについて書いていきました。
今回は、9月上旬にJSPOの公認コーチ 共通科目Ⅲを受けた時に改めて自分自身『コーチとは』について考えるいいきっかけになったことを書いていこうと思います。
これは様々な競技、様々なカテゴリー、スポーツに関わる人たちに読んでいただけたらと思います。
今回の講習会でのテーマはプレイヤーを中心に据える『プレーヤーズセンタード』なコーチングとはいかなるものか、どのようにしてプレーヤーズセンタードなコーチングを実現させていくことができるのか。
すなわち、プレーヤーを取り巻くプレーヤーを支援する関係者自身(指導者、保護者、トレーナー、ドクター等)も、それぞれのWell-being(良好・幸福な状態)を目指しながら、プレーヤーをサポートしていくという考え方です。
プレーヤーズファーストという言葉はよく耳にするかと思いますが、プレーヤーズセンタードと何が異なるのでしょうか?
プレーヤーズファーストの本来の意味は、『プレーヤーズファースト、ウイニングセカンド』(プレーヤーの成長が第一で勝利は二の次)の文脈で使われていました。
それが、いつしか後半部分が欠落してしまい、プレーヤーズファーストだけがよく使われるようになってしましました。
世間でも〇〇ファーストという言葉をちらほら見かけたり聞いたりするように、人の優先順位を比較するような捉え方になり、誤解も生むようになっていました。
自分自身も教員を経験した時代に仕事(生徒)と我が子どちらがファーストかという議論を聞いたことがあります。
生徒と我が子の卒業式が重なり、どちらを優先すべきか。
生徒優先で考えれば、教師の家族にしてみたらそれは社会に対するエゴという気持ちになるでしょうし。
ファーストがあれば、誰かがセカンドになります。そうではなく、互いが互いに認め合う。全てがプレーヤー優先ではなく、プレーヤーを支援する関係者、その家族もそれぞれの幸せや成長を考え、個を大事にする。皆が主役であり、それぞれの人生を豊かにできる誰も不幸にならない考え方。そのうえでプレーヤーを真ん中に置き、プレーヤーを支援する関係者はプレーヤーの成長のために何ができるかバランスよく考える。それがプレーヤーズセンタード。
プレーヤーズセンタードについて学び、理解を深めていく上で、点と点で繋がっていたものが1本の線になった瞬間でした。
それぞれの人生を豊かにできる誰も不幸にならないのがスポーツだと考えていた自分自身にとって感慨深い内容でした。
そして、プレーヤーズファーストの概念があったのは決して悪くはないことです。
コーチファーストの脱却からプレーヤーズファーストが生まれ、突き詰めていくうちにもっと高いレベルでのコーチング、プレーヤーズセンタードでみんなが幸せになるという段階に入ってきているということです。
プレーヤーズセンタードは、ただ単にプレーヤー任せにするということではなく、プレーヤーの文化や価値観、カテゴリー、今まで培ってきたものなどそれまでの文脈に沿って考える必要があります。
今、どういうアプローチが適しているのか、そのためにはどんな選択肢があるのか。
その場が持つ特徴によって適切なコーチングが変わり、このやり方ならずっと上手くいくという絶対的な指導方法はあり得ません。
みんなが違う人間だからこそ、絶対というものはありません。『他人は他人』ということを肝に銘じておく必要があります。
講習の中でもありましたが、まずは自分の視点を知ることが大切です。
自分が受けてきたコーチングはどのような環境だったのか。
人は自分の育ってきた環境、経験で物事を捉えてしまいます。
その色眼鏡を外すことは不可能ですが、講習などで様々な競技の指導者の方と意見を交換することで人の考え方の違いにも気づくことができます。
そして、違いを認め、どういう解決方法があるのかなどの考えにもつながります。
また、ほかにもプレーヤーセンタードなコーチングを実践するためのよりよいコーチング環境を整えていくことを考える講義がありました。
大要素として6つの項目を例示しますので、それぞれについて、自分のコーチング環境をよりよいものにしていくために必要となる事項についてリストアップしてみましょう。この分析を行う目的は「よりよいコーチング環境を構築するのに必要な要因を明らかにすること」です。魚の顔の部分に目的を明示してあります。そして、今回みなさんに考えてもらう「物的環境」「人的環境」「インテグリティ」「育成システム」「チーム風土」「コーチの学習環境」を大きな骨として示してあります。
この中でも今回フォーカスを充てるのは『インテグリティ』の部分。
インテグリティとは、高潔さ・品位・完全な状態を意味する言葉です。スポーツにおけるインテグリティとは、『スポーツが様々な脅威により欠けるところなく、価値ある高潔な状』を指します。
「高潔さ・誠実さ・真摯さ・正直さ」に当たるような部分であり、「ルールを守る」「フェアプレーをする」といったようなものです。
言い換えると『スポーツが本来の価値を持った状態で実施されること』という考え方です。
現代のスポーツはどうでしょうか。
本来の価値を持った状態で実施されているでしょうか。
もし世の中のスポーツが「なにも問題がない状態」なのであれば、わざわざ「スポーツインテグリティ」などという言葉を作り、それを定義し、それに即した活動をしていく必要はないわけです。
現代のスポーツには様々な「問題」(ドーピング、ハラスメント等)があるからこそ、それを克服するために「スポーツインテグリティ」という言葉が生まれてきたということです。
少し難しい話になってしまいましたが、自分のコーチング環境をよりよいものにしていくために大切にしたいと感じたことは、『スポーツを楽しむ人たちを守る』ということ。
このスポーツ本来の当たり前のように実施されないといないようなことが「勝利」「名誉」の為だけに薄れていくことはあってはいけないことだと思います。
きっと全員がわかってはいるんだけれどもなくならない「問題」。
いつか来る「なにも問題がない状態」、スポーツ本来が価値を持った状態で実施されるときまで自分自身スポーツを学び、楽しみ、手の届く範囲の楽しむ人たちを守っていきたいと感じました。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
講習会の依頼、相談等DMにてお気軽にご連絡ください。
では、
Vi ses!!!!!
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