心に残っている指導者の言葉
- 2020.09.10
- GK【ゴールキーパー】
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Bom dia!
こんにちは!網谷涼子です。
今回はタイトルの通り、競技生活で心に残っている指導者の言葉について書きます。
たくさんの指導者の方から熱くて、背中を叩かれるような言葉をもらってきたのですが、ひとまず今日は一人だけ紹介します。
社会人1年目の夏、ポルトガルのギマランイスで世界学生選手権が行われました。(今ポルトガルいるのが何かの縁のように感じます)
メンバーは北國銀行の河田選手、スペインに挑戦中の細江選手。三重バイオレットアイリスの多田選手に森本選手、広島メイプルレッズの板野選手。引退しましたが、一番長く共にプレーしたソニーの安倍選手・・・今思えば本当に個性豊かなメンバーでした。
監督は武庫川女子大を指導されていた樫塚先生、コーチに斎藤慎太郎さん。
今回は監督の樫塚先生からもらった言葉について紹介します。
初めての強化合宿は東京女子体育大学の体育館に集合して、いきなり大学生と練習試合をしたのを覚えています。何も決まっていないまま、全員が手探り状態で、急ピッチでチームを作り上げていきました。
うまくいかないこととか、時間が足りなくて互いにコンビネーションを合わせきらないところがたくさんありましたが、それすらもなんとなくワクワクして、だんだん自分たちの形ができていく楽しさみたいなものがあったのを今でも覚えています。
正直チームに派手さはなかったです。
大学生との練習試合も全部負けてしまったような・・・。
代表としてのプレッシャー見たいなものを初日の段階で全員が感じていました。それもちょっとネガティブな。
そんな私たちのことを弱いと言わずにずっと話を聞いてくれた監督
「お前らはどうしたいんや?どうなりたいんや?」
常に樫塚先生はこれを私たちに問いかけました。先生は怒ってはいませんでした。
チームを引っ張る上の世代を呼んで、「チームを引っ張って行かにゃいかんけど、しんどくないか?みんなどうや?」と心配もしてくれました。
チームメイト一人一人がどう言う思いでプレーしているのか、それに対して期待するところと、心配している部分についても樫塚先生の視点で話してくれました。
どこかにチームのストレスみたいな物が溜まることなく、吐き出すところが常にあったような気がします。
そして最後に
「決勝リーグに全員で行こうや!」
と先生は笑いながら私たちに話をしてくれました。
こんなこともありました。大学生との練習ゲームで言われた衝撃の一言
寄せ集めの選抜チーム。やはり最初に決めるのはフォーメーション?ですよね。
各チームのフォーメーション、攻撃の導入などを出し合っていた最中のこと。樫塚先生が怒鳴り声を上げました。(いきなり)
「お前ら!!!いつまでユーゴしとんねん!!!ワシらの世代から同じことしとるぞ!!新しいこと考えんかい!」
※ユーゴ=ボールなしのクロスのこと。攻撃の導入でよく使われるアレです。あってるかな?笑
一番頭を抱えていたのはキャプテンの河田選手でした。
私はGKなのでのんきでしたが(他人事で最悪です)先生の「いつまでユーゴしとんねん!!」があまりにも破壊力があったのでずっと隅っこで笑っていました。
そんなこと言われたの、私のハンドボール人生ではじめてだったな。
でも新しい発想とか考えを出していくのって大事だなってその時思いました。ハンドボールってどんどん進化しているし、トレンドもあるし。
念願の決勝リーグ進出!その裏側。
簡潔に言うと、ロシア・日本・ポルトガル(開催地)・メキシコのグループで、得失点差にもつれ込み決勝リーグに進出することができました!
奇跡に近い決勝リーグ進出でしたが、誰よりも喜んでくれたのは樫塚先生でした。
「自分たち、まだまだやれるで!!」
とさらに選手を鼓舞して自信をつけてくれたのも先生でした。
試合をこなす度になんだか手応えみたいなしっくりくる感じがあったし、先生も急成長するところを見てそう言ってくれたのだと思います。
そうなってくると不思議と「これはもしかして、いけるんじゃ・・・!?」と言う思いが出てきて、チームにいい雰囲気が流れ始める。朝食にもみんながいい顔をして集まってくる。プレータイムが少ない選手は時間を見つけてトレーニングをし、いつ出番が来てもいい準備をする。勝ち進むことでチーム内で好循環を生み出すことができたような気がします。
決勝リーグの1戦目はその大会で優勝することになるブラジルと対戦し、惜しくも1点差で負け。しかし、あと10秒あれば引き分けに持ち込めた!!!全員がそう言い切れる試合になりました。
その後はメキシコとの再戦で勝ち、5−6位決定戦でスペインに敗れ6位で大会を終えました。
悔しい思いはあったけど、このメンバーでやり切れた思いの方が強かったです。
先生がぽろっと私に話してくれたこと、一番心に残っている言葉。
「どっちに勝敗が傾くかわからない勝負どころで、選手を信頼してコートに送り出せる。そういう指導者じゃないとなあ。たとえその選手が全然試合に出れてなかったとしてもな。だから普段から信頼関係を作らないと。けど、選手自身も勝負どころで使ってもらえるような選手にならないかんで」
先生はそう言ってました。
どういうタイミングとシチュエーションだったかは覚えてないけど。
このことが自分に突き刺さり始めるのはもう少し後の話。
ベンチとコートを区切るあのサイドラインはただのラインじゃない
SONY1、2年目の頃は全くと言っていいほど出場機会がなかったです。
コートとベンチ、距離で言えば本当に1mもないのに、この天と地ほどの差はなんなんだろうっていつも思っていました。
けど、飛田選手というレジェンドを蹴落としてでもコートに立つという”がめつさ”みたいな、意地のようなものは私にはなかった。どこかで認めてしまっていました、正直。
そんな私も時々出場機会をゲットすることができました。
1、チームが大量リードした試合の後半、もしくは勝ちが確定したなと思われる時間帯
2、大量リードされて、取り返しのつかないような試合をしてしまった試合
3、ペナルティ
簡単にいうとこの3つ。
当初は何も考えずに1秒でも1分でもプレータイムを積み重ねていこうと思ってプレーしていました。
でも勝負が分かりきっている試合に出され続けていると、自分は時間潰しなのかとか普段プレータイムがないから情けをかけられているのかとか、何より面白くないなあと思うようになりました。
ひねくれていた部分もあったと思います。
でもやっぱり信頼してもらいたいし、勝負どころでコートに立って勝った経験値というのを積み重ねたい。勝利を引き寄せるようなセーブをして、勝ちを引き込むようなキーパーになりたい。腐るのは簡単だけど、歯を食いしばって自分がなりたいなと思う自分になりたいという思いがありました。
先生の言葉のおかげで頑張ることができたような気がしてます。
先生ありがとう。
海外ではとにかくバシバシシュートを止める人が試合に出るけど、しっかり信頼関係を構築していくことが私にとっては大事な部分と思っています。そのために言葉、態度、目の前の事柄に対してしっかり感情を表す。これをまずはしっかりやりたいですね。
勝負どころでコートに送り出してもらえる選手に、涼子ならやってくれると思ってもらえるよう2シーズン目も頑張りたいと思います🇵🇹
Obrigada!
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