日本のトレーニングはどう思われているのか
- 2020.07.28
- PLASSPER
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こんにちは.こんどうしゅん(@plassper)です.
久しぶりに質問箱に質問を頂いたので僕の知っている範囲で書いてみようと思います.
とりあえず時間が長いとケガのリスクが高いとは思われていると思います。
あとはなぜ乱取りが長いのかがうまく伝わっていないような気がします。— 近藤俊:クロアチア在住柔道家 (@plassper) July 27, 2020
では少し詳しく見ていきましょう.いくつか目立つところで項目を作ってみました.
・練習長い
基本的にヨーロッパのトレーニングは90-120分で完結します.
人数も多くなく,多くのメニューを短い区切りで休憩も短く入れながらこなしていきます.日本の乱取中心の練習とはまた違ったきつさがあります.
結構前にブログでも書いたことがあるので読んでみてください.
メニューも日本と違って状況やパターンを指定した部分練習が多いです.
・ケガのリスク高い
これはおそらく疲労度が高いまま次の練習が始まったり,疲労度を考慮せず同じメニューの練習をこなすことへのコメントだと思います.
日本人的に練習の意図を解説するとこういった練習方法は”きつい時にも力を発揮する練習”みたいな感じでしょうか.
僕個人としてはこういった方法も時には必要だと思いますが,常にケガのリスクが高い状態はあまり褒められたものではないなと思っています.
100%を出せる時に整えて100%を出すトレーニングをしましょうというヨーロッパの考え方と,その時の100%という考え方の日本との違いが出ているのではないでしょうか.
・毎日同じことの繰り返し
例えば毎日乱取を6分10本とか,寝技して打込して投込して乱取とか,日本では多くの場合練習メニューが固定されていると思います.
その固定されたメニュー,いわば与えられたものの中で,自身の課題克服や長所をさらに伸ばすような取り組みを自分で考えて選択・行動していかなければなりません.
ヨーロッパではそんなことはあまりなく,試合での課題や対戦相手の対策なんかをメニューに組み込んで克服してくイメージです.なので指示も一人ひとり異なるし,使うパターンも違うのでコーチである僕は90分のトレーニングでほぼ喋りっぱなしです.
てなわけで,ほかにも理由はありますが,ヨーロッパでは同じトレーニングはないので(毎日違う組み立てと数日‐数週間単位で立てるトレーニングのテーマやスケジューリング),日本の毎日同じ組み立ての練習は少し変に思えるようです.
トレーニングの組み立てについてはこちらのブログでも書いていたので時間のある方は読んでみてください.
こちらではトレーニングを短く区切るとどんな問題が起きるか?という僕の見解を書いています.
・乱取は手を抜いてるから長くできる
日本柔道の練習の特徴として乱取に時間をかけることが挙げられると思います.
乱取に時間をかける理由は割愛しますが,乱取をたくさんできるのは”力を抜いている””メリハリをつけている””目的が疲れることではない”のではなく,”手を抜いているから”に見えるようです.
”乱取”と”Fight”の認識の違いからこの差は生まれていると思われます.
どういうことかと言うと,ヨーロッパで乱取は試合に近いような”戦い”をするための時間なのでそもそもそんなたくさんできんだろ!ってことですね.
もちろん日本でも練習試合があるし乱取を短くしてそういった形式を取ることもあります.
日本人が時間をかけて技のタイミングや形を乱取の中で修正していくことや苦手な部分を実践の中で克服していくために時間が長くとられていること,試合で来るきつい組手に対処したり有利な組手では極め切るために道場の端まで来ても離さないことがうまく伝わってないと感じています.
なのでヨーロッパで乱取をすると,危なくなったらすぐ膝をついて逃げたり,離して明後日の方向を向いて仕切りなおしを促したり,片襟やピストルグリップがあからさまだったり…
まあいろいろです.
・立ち上がってから組み合うまで時間が長い
これは良く言われますが,ヨーロッパの方が長いと思います.危ないので早く立ち上がってほしいし,時間がもったいないのではやく再開してほしいです.
・寝技の練習方法の相違.テクニックから入るor基礎運動から入る
さて,ここから少しヨーロッパ全体というよりはクロアチア国内の話になります.
クロアチアでは寝技を得意としている選手がほとんどいません.
その理由は寝技の指導方法にあると言われています.(クロアチア人コーチ談)
何がそうさせているかというと,クロアチアの寝技のトレーニングは三角などの相手を返す技の習得から始まります.
キッズの試合で勝つ分にはそれでもいいんですが,それでは寝技が上手くなっているというより,その技を習得したという意味合いが強いです.
そのままカデ,ジュニア,シニアとカテゴリーが上がっていっても寝技の基礎基本が身についていないので,緻密な寝技をする各国にいとも簡単にやられてしまいます.
国内合宿で寝技の基本を繰り返し講習してきましたが,その時間は来ないコーチもいるくらい関心は思います.(まあ俊に任せとけば大丈夫か的な)
そういう部分でまた基本の重要さを再認識しています.
・投込に対する考え方
最後に個人的に感じていることを一つ入れておきます.
日本では,”投込”は打込の次の段階,崩しと作りができて初めて掛けの練習に入る,そんなイメージだと思います.でもクロアチアや東欧各国では投込は息上げや体力トレーニングの一つとして捉えられている部分があります.
もちろんその側面があることも否定できませんが,取の技術と受身がしっかりしていない状態で投込だけがんばっても疲れるし痛いだけなので僕個人としては技の理合いを理解してゆっくりでも表現できるようになってからバンバン投込してほしいなと思っています.
特に小学生クラスでは,柔道に痛い印象を抱えて次のクラスに進んでほしくないので,気をつけたいところです.
今回はこんなところで,日本の柔道の練習がどう思われているかを書いてみました.
それではまた.
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