クロアチア柔道の現状と課題
- 2019.12.21
- PLASSPER
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みなさんこんにちは.こんどうしゅん(@plassper)です.
今回からブログでも名前をひらがなで表記していきます.何となくなのであまり気にしないでください.
前回嬉しいことに「クロアチアで柔道をしませんか?」という僕の記事にたくさんの反響いただきました.
DMなどは届いていませんが笑
今回はそれを踏まえてクロアチア柔道が現在どういった状態にあるのか?について書いていこうかなと.
初めに言っておきますが,思ったよりも散々な状況なわけではないので,なんでそこまでしてやりたいんだ,別にこのまま頑張ればいいじゃないかと思うかもしれません.
ただめちゃくちゃ充実した内容かと言われるとそうでもなく、もっとできるのになあと常々思っています。
それでも日本人だからではなく僕という存在を信頼してくれているみんなのために,そして,柔道のために動いていくつもりです.
あとは僕の危機を救うべく尽力してくれた方々のために恩返しをするには,クロアチア柔道に尽力することが一番だと考えています.
まずは現状について、強化→育成→普及の順番でまとめていきます.
強化
・オリンピックに何人出せるか
5階級が目標です.
現在(2019/12/21)で,
-81kg級 82位
-100kg級 33位
-70kg級 25位
-78kg級 26位
+78kg級 34位,38位
となっています.81kg級の選手が僕が拠点としているクラブ出身なのですが,前十字靭帯再建手術やザグレブ大学でほぼ一人で練習していることもありだいぶ出遅れています.けっこう厳しいです.
・1998-2000世代がシニアカテゴリーで戦うことができるか
1999年生まれは今年でジュニアカテゴリー最終年です.この世代は世界カデの女子団体でメダルを獲得した世代で,タレントが多いと思います.
しかし,クロアチアに昔からある問題として,大学生になって住む場所が変わるタイミングで大勢やめてしまう問題があります.
つまり,中盤の選手がいないので,トップ選手でもカデやそれ以下の世代と練習するか,国外の合宿に参加するしかありません.
この世代がまるまるごそっとシニアで戦ってくれる環境ができればいいなと思います.
・ナショナルチームの存在について
先ほどの問題を解決するには,ナショナルチームでいいんじゃないの?ってなるかもしれませんが,そう簡単にはいきません笑
問題は2つあって,一つ目は大会の出場もクラブがお金を出して出場していること.IJFツアーやヨーロッパ選手権に出る条件を満たすために,様々な大会に出場するわけですが,その大会にはほぼクラブがお金を出します.
そして,IJFツアーやヨーロッパ選手権に出場できる選手はほとんどいないので,みんながナショナルチームに必要性を感じにくいシステムになっているわけです.
もう一つの問題は,ナショナルチーム専任のコーチがいないこと.男女のヘッドコーチ,あとは僕ですらも普段はクラブの指導をして合宿や試合時には他のクラブの選手を指導する感じです.
これが選手を取っただの取られただのいう感覚につながるのかもしれません.
・細長いから移動が大変
次は地理的な問題です.
クロアチアは地図のように東西南北に細長く広がっており,車での移動時間が長いです.
首都ザグレブから第2の都市スプリットまで5時間くらい.というわけで週に1回の合同練習会は難しい状況です.かといって地方ごとにやろうとすると再び噴出する選手取った取られた問題.
けっこう難しい人達なのです.みんないい人だけどね.
育成
・U16講習会
昨年から始まった中学生年代の合同合宿.年に3-4回開催されていて,僕は北部の方で講師をしています.
各クラブの練習相手の確保,指導者のレベルアップも兼ねています.
ところが,参加するのはクロアチアの中では強いクラブばかり.南部に至ってはもう合宿がないのも同然の状態です.
・キッズのルール変わる
2020年からU14までのルールが変わります.クロアチアのキッズは基本的に腰車で押しつぶすやつと払巻込をメインで使うんですが,危ないです.
ケガも増えて技も覚えれないということで連盟と話し合ってルールを変えようということになりました.それが来年から採用されます.
普及
・大学生の場所がない
先ほどから何度も書いているように地方出身者が大学に進学すると練習場所をうまいこと確保することが難しいです.
・子どもは多い
→複数スポーツの習慣から
柔道をしているキッズは少なくないと思います.それは複数スポーツや一年ごとに取り組むスポーツを変える習慣があるからで当然サッカーやハンドボールをやりながら柔道をしている感じです.
→続ける子が少ない
クラブ練習が毎日になるタイミングで大多数のキッズは取り組むスポーツを一つに絞ります.そこでだいたいのキッズは球技を選ぶというわけです.
→認知度はある
こういったことからクロアチア国内では柔道の認知度はそこそこあると言えそうです.
・クラブのオープンが容易
→分裂・仲違い
クラブを新しくオープンするのにあるあるのパターンがクラブ内での仲違いです.人口3.5万人の都市に柔道クラブが3つ.僕が住んでいるプーラにも3つの柔道クラブがあります.
→コーチは副業、ハードルが低い
あとはコーチ業が副業であることもあり,ハードルが低いです.
課題
これらを踏まえて,クロアチアの課題はざっくり言うと3つです.
・指導者のレベルアップ
・人数がガクッと減るタイミングが二度ある.それを食い止める.
・各クラブ・ナショナルチーム間の協力
この課題を,日本から柔道家が来て練習してくれることにより,
指導者のスタンダードレベルアップ(レベルの高いものに触れる)、
子どもたちに目標、のちに目指す形を具体的にイメージできる(憧れ,お手本が身近に)、
しゅんが間に入ることで一緒にやりやすくなる、一緒にやる体制を作っておく(協力しないんだったら少数精鋭でスパルタ体制を取るしかない)
この思考に持っていければ,選手取った取らないとか小さいこと言わなくなるような気がします.
人口400万人,サッカー狂のクロアチアで柔道が生き残り発展するためには,日本からの刺激が必要だと考えています.
何となく今ある課題となぜ僕が日本人柔道家を招待しているかわかっていただけたでしょうか?
これからも少しずつ中のことについて触れていければと思います.
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました.
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